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2022/07/01

衣浦臨海鉄道株式会社 長期ビジョン2050

2022.3.14

Ⅰ. 長期ビジョン策定の背景
Ⅱ. 取り組むべき課題
Ⅲ. 2050年に向けて目指す姿


Ⅰ. 長期ビジョン策定の背景


当社は2021年に会社設立50周年を迎え、2025年には半田線開業50周年、2027年には碧南線開業50周年を迎えます。
この間、道路網の発展などにより開業当初の計画輸送量には達していないものの、地場産業や衣浦臨海工業地帯の貨物輸送需要に応えて、地域経済の発展に貢献してきました。
また、環境面においても、年間約35万トンの鉄道輸送を続けてきたなかで、トラック輸送と比較してCO²の排出量を約1/5に抑制するとともに、慢性的な幹線道路の渋滞緩和などの貢献をしてきました。
しかしながら、基幹事業である鉄道事業は中期的には順調に推移するものの、鉄道施設・設備の老朽化への対応、政府の「2050年カーボンニュートラル」宣言の影響への対応など様々な長期的課題を抱えていることから、株主を始めとする全てのステークホルダーに対する説明責任を果たすために、中期経営計画とは別に長期的視点に立って会社の今後を展望し、そこへ向かうための取り組み方針等を「長期ビジョン」として明らかにすることとしました。
 

Ⅱ. 取り組むべき課題


1 カーボンニュートラルの影響への対応


現在、当社の鉄道事業は石炭火力発電所関連物資である石炭灰と炭酸カルシウムの輸送が柱となっているが、発電会社はカーボンニュートラルに向けた取組みとして、発電のための燃料を石炭からCO²が発生しないアンモニアに順次変換し、2050年までに変換を完了することとしている。
鉄道事業収益の3/4以上を占める発電所関連業務が、2050年に消失することが明らかなことから、これに代わる業務の獲得や事業の創設が必要になる。
一方で、「SDGs」に対する社会全体の認識が高まるなか、環境負荷の軽減や労働力不足への対応として、環境特性と労働生産性に優れた鉄道輸送への期待はますます大きくなっていくことから、地域経済への貢献が求められる第3セクターの貨物鉄道会社として、その期待に応えていく責任がある。

2 鉄道施設・設備の老朽化等への対応


開業から約50年が経過し、橋梁を始めとする鉄道施設の老朽化が進んでいることから、長寿命化や更新を計画的に実行する必要があるとともに、近い将来発生することが予想されている大規模地震発災時において、地域物流の担い手として事業が継続できるよう施設の耐震化も進めていく必要がある。

Ⅲ. 2050年に向けて目指す姿


1 安全・安心・安定輸送の維持


老朽化が進む施設・設備を短期間のうちに全て更新することは、財務状況からも困難なことから、施設の全般検査に基づく健全度判定を行って今後の維持管理方法を検討し、予防修繕による長寿命化を計画的に推進するとともに、必要不可欠な設備は更新を行って貨物鉄道事業を継続する。       
また、大規模災害に備えて耐震化事業を計画的に推進するとともに、被災時における地域物流の担い手として貢献できる体制を構築するために、地元自治体等との連携をさらに強化していく。
   

2 貨物鉄道会社から総合物流会社へのリストラクチャリング


これまで貨物鉄道輸送による地域経済への貢献を基本に事業を展開してきた
が、事業環境の変化に対応するために、収益構造の改善を図るための事業再構
築(リストラクチャリング)を進めて、貨物鉄道事業を有する総合物流会社と
して、引き続き地域経済の発展に貢献をしていく。

(1)鉄道事業の見直し
環境負荷の軽減、労働力不足対策、危機管理対策における流通手段の多
様化、地域の活性化など、持続可能な社会を構築するための課題を解決するうえで、貨物鉄道輸送が果たす役割は益々大きくなっていくことから、第3セクターである当社にとって貨物鉄道輸送事業を継続していくことは、非常に意義のあることである。
一方で、当社経営環境の変化による輸送量の減少は予定されていることから、その減少量に応じて、所有機関車数の見直し、コンテナ輸送を担う半田線並びに石炭火力発電所関連物資輸送を担う碧南線のあり方の見直し、輸送体制の見直し等を適宜行って鉄道事業資産の最適化を図ることにより、貨物鉄道事業を維持していく。 
    
(2)不動産資源の高度活用
衣浦港は原材料であるバルク貨物の輸入量が多く、近年は製紙用原料やバイオマス発電等の燃料である木材チップや木質ペレットの輸入量増大により埠頭用地の不足が課題となっていることから、保管倉庫の増設や大型コンテナ専用貨物ステーションの創設等、不動産資源の高度活用により地域物流の課題に応えられる事業を展開する。
また、これらの新規事業の創設にあたっては、様々な資金調達方法を活用して実現を図る。

(3)地域貢献のあり方について
鉄道輸送を基軸とする総合物流会社として、引き続き環境負荷の軽減や労働力不足に対する貢献に取り組むとともに、関係自治体等との連携の強化に努めて様々な形で地域社会・経済の活性化に貢献する。

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